円周率とは何か(1/2)

はじめまして、わたくし中野と申します。
この4月にTEGOSに入りました。
主にプログラミングと教育と数学を担当しています。
さて、初めての記事が円周率についてです。
「なぜに円周率?」と思ったと思いますが まあ最後までお付き合いください。
2002 年4月に実施された俗に言うゆとり教育の指導概要の中で「円周率はおよそ 3 として扱うことになるらしい」という噂が大人たちの間で話題になりました。
詳しくはこちらを↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%91%A8%E7%8E%87%E3%81%AF3
正確には3.14の計算に電卓を使ったり場合によっては 3 として扱ってもいいという話でした。しかし保護者たちは早合点で慌てました。
「自分で考えさせる力を養うと言うがバカを育てるんじゃないか」とか
そんな保護者に漬け込んで「うちの学習塾では円周率を 3.14 で教えます」と
売り文句を出すところまで現れたとか現れなかったとか色々ありました。
そんな中、翌年の東京大学の数学でこんな問題が出されたのです。
「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」
問題文はたったこれだけです。
短い文章の問題は普通、数学の問題と言ったら色々式や与えられた文字や数字や条件が指定されるのが一般です。
同じ年の他の問題を見てみましょう。
問題の意味はわからなくても、円周率の問題が異質すぎるというのはわかると思います。
ここから私の勝手な推測です。
この問題を通して東大は、
「円周率が 3.14 から 3 と教えることに大騒ぎしている方々へ。あなた方は” 円周率が何か” を説明できるのかを問いたい」と受験生のみならず世間にも言いたかったのではないでしょうか。
だって 3.14 を 3 にするのが嫌なら 3.141 で教える方がいいですよね。
いやここはもう一声で今度から円周率を 3.1415 で計算させるように指導要領を変えたらどうでしょうか?
いやいやまだ甘い、円周率 100 ケタ暗唱する時間を学校で取り入れたら?
そうしたら「3.14 → 3」に抵抗していた人はこういうでしょう。
「そんなに円周率を覚えたって役には立たない」って
えっ!? 3.14 が 3 になることが学力低下に繋がるんですよね?
円周率 3 桁より 4 桁。4 桁より 5 桁。
この方が学力向上するんじゃないですか?
そこで私は気づいたんです
「ああ、この問題で騒ぐ人たちは少数の計算をさせたいだけなんだ」と。
それが心配なら少数のかけ算をやりこんだらいいのです(※補足)。
「円周率が何かもわからず大人になったのにやれおよそ 3 になるとなんとなくバカを大量生産するとか学歴社会だとか不安になった大人のなんと多いこと。」
(c) チコちゃんに叱られる!
次回、円周率についての説明をしていきたいと思います。
 
※補足
とはいえ私も一応 3 にするとまずい理由はあります。
(1) 3 にすると答えだけ書く問題では当てずっぽうで書いて合う確率が上がる。
(2)記述式にして途中の計算を書かせる問題でも円周率= 3 だと、いつ円周率を使っているかがぱっとで見わかりにくい。
(3)中学入試などではすぐに終わりそうな問題になるので出題者の気持ちになると出す気が失せる。
(ちょっと補足します、計算の裏技など早く解けるコツに気づかせる問題はありますが3だとすぐに解ける率が上がるので自分が出題者をやるとなると円周率 3 でも骨のある問題を作らないとと気負ってしまいます)
調べてみると円周率 3 にすると1辺1の正六角形と半径1の円の外周の長さが同じになってしまうのでダメだという意見もありました。なるほど、これだと出せる問題が限られてきますもんね。