「就職」と「就社」は違う

要約

  1. 職業人生は企業の寿命より長い
  2. 所属する会社に特化すると危険
  3. 転職しても良いけど業種を変えてはいけない

まずタイトルの説明。
「就職」と「就社」は違うというのは、宋文洲さんというソフトブレーンの創業者の言葉です。

日本人に「何の仕事をしていますか」と尋ねると
「トヨタに勤めてます」とか勤務している会社名を言う。

これに対し、海外の人に同じ質問をすると
「自動車のメカニックです」とか職業名を言うそうな。
で、日本人は特殊だと。あくまで「職」に就くのに「会社」についてどうすると。
宋さんは、留学生として日本にやってきて、起業して苦労された方なので含蓄がある。

次。「職業人生は企業の寿命より長い」というのはドラッカーさんの言葉。
企業の寿命はだいたい30年くらいだそうです。
大学卒業して定年まで働くとすると職業人生のほうが長い。
なので一つの会社にフルコミットしてたら危ないよ、という話。

これもどっかで読んだ気がするんだけど、およそ、知識には3種類ある。

1.その職場特有の知識(例えば、職場固有の業務、職場内だけで通用する隠語、PGなら職場だけで使うモジュール、SEならドキュメントの記述方法など)
2.その職種共通の知識(例えば、経理なら簿記、PGなら言語の知識、SEなら設計手法)
3.職種を超えたノウハウ、知恵(対人関係スキル、景気変動のサイクル、哲学など)

宋さんの言葉は確かに正しいんだけど、知識の種類でいうと「2」だけの話なんです。
職場でうまくやっていくには「1」の知識もある程度は必要。
でもあまりに「1」に特化するとドラッカーさんのいう危険があるという話なんだと思う。

なので、会社の体質が古い、そろそろ寿命かなと思ったときは、
ある程度「2」の知識がたまったタイミングで転職するというのが
戦略的に正しいのかな。

しかし業種を変えると「2」の知識がゼロリセットされるのでツラい……。
なので、基本的には「転職しても良いけど業種を変えてはいけない」です。

会社が気に入らないのか、職種が気に入らないのかじっくり考えた結果、
やっぱり業種が気に入らない。
どうしても業種を変えたいこともあるだろう。

そういうときは「3」の知識なら別業種でも使えると信じて、飛び出そう。
そこも貯まってないなら、……貯まるまで待て。
お金も大事だけど、お金を生む源泉である知識と知恵のほうがむしろ大事よ。

私のおばあちゃんが言っていました、
「なんでも手に職よ。生きとれば頭の中は盗っていかれることはないけえね。一つ道をツッと行きんさい。」